九旬

 

次世代につなぎたい、自慢の栗。

生産者: 山江村 豊永高希さん(とよながたかき)


生産者の思い

 

山江果樹研究会の会長も務める豊永さん。先代から続く栗の生産を行なっています。

9割が山林、平地が1割の山江村で、里山を活用して水田並みの収穫をあげようと、村をあげて始まった取り組みが栗の生産でした。

 

比重の重いやまえ栗は、風味が強くて甘みがあります。

1977年には、皇室献上栗に選ばれました。豊永さんいわく、「(当時は)村中沸き立ちましたね。」

毎年9月に行なわれる「栗まつり」では、生栗や栗を使ったスイーツを販売。毎年県内外から多くの方が訪れ、1日で約1tを販売します。

 

 

さらに豊永さんは剪定や接ぎ木の講習会を行なうなど、次世代の生産者の育成にも取り組んでいます。

「『桃栗三年』と言うけども、3年ではちょっとしか生らない。若い人には、早く植えとけよ、と言ってるんですよね。」栗の木が成木になるまでは、10年近くかかります。

「これからは、生産者も、(他のフルーツのように)生産者の名前があって、ちゃんと(品質に)責任を持つようなことじゃないと。そういう考え方を、ちょっとずつ変えたかとですよね。」と語ります。

 

 

生産方法

 

山江村で本格的に栗の生産が始まったのは、1960年頃。

赤土混じりの土壌、南向きの傾斜地で排水の良い地形に加えて、盆地特有の朝夕の温度差がある気候が、栗の栽培に適していました。

 

栗は風に弱いため、できるだけ木が低く横に広がるように剪定する「低樹高栽培」を行ないます。

強い風が吹くと実が落ちてしまうため、台風の影響を受けることも。

同じ時期の品種ばかりだと一気に実が落ちてしまうので、豊永さんの畑では早生から晩生まで、様々な品種の栗を植えています。

 

 

地面には、イタリアングラスという牧草を蒔いています。冬場から春先まで伸びて、夏場に枯れる。乾燥防止のほか、草刈りの回数を減らすこともできるのだそうです。

 

 

熟した栗の実は自然に木から落ちるので、それを拾って収穫します。

早生から晩生まで、ひとつの品種の収穫期が2週間ほど。ピーク時は1日に200kg収穫することもあるのだそうです。

 

栗の選別作業を行なうのは、必ず朝の6時から。午前中の太陽光の下で、虫食いの穴などを目で見て判別するためです。

拾ったイガを機械で剥いたら、水を張った水槽に実をザブッと浸ける。

洗っているうちに浮いてくる「浮き栗」には未成熟な実が混じっていることもあるので、全て捨てます。2,3回洗い、選果台にかけて、大きさを選別。選別した栗の実は全て、水分を丁寧に拭きあげます。

この選別の過程を2回ほど行ない、厳選された栗を出荷しています。

 

見分け方

 

山江村で収穫される栗の全ての品種が、「やまえ栗」として出荷されます。

九旬のやまえ栗は、いちばん大きなサイズ3Lと、それ以上の大きさの栗を出荷しています。

一般に加工用として出荷しているのはMから2Lまでのサイズのものが多いそうです。

大きな栗のイガは、ひとつひとつ手で剥きます。大きな実をイガ剥き用の機械にかけると、ローラーで割ってしまうためです。

 

 

主流の品種は「筑波」と、栗の王様と呼ばれる「利平」。どちらもお彼岸の頃から収穫されます。

比較的新しい品種の「ぽろたん」は、実のお尻が小さく、渋皮がすこし厚い。また、実が固めで、煮崩れしづらい。ぽろたんは600Wのレンジで3分ほどチンすれば、その名の通り皮がぽろっと剥けるそうです。

 

 

豊永さんのおすすめは、「美玖里(みくり)」。10月のはじめごろから収穫される品種です。ひかえめな甘さで、豊永さんは栗の王女様(プリンセス)と呼んでいるのだとか。

取材に伺った9月上旬は、美玖里の実が熟すのを待っている頃でした。

 

食べ方

 

ペーストにする場合は、皮付きのまま湯がいたほうがよいそうです。皮付きのまま湯がいて、半分に切って、くり出す。剥いた栗から作るよりも、風味があって美味しい。

 

皮付きのまま新聞紙で包んで冷蔵庫に入れれば、2週間ほどもちます。チルド室に入れるか、0度~5度での保管がおすすめです。すぐに冷蔵庫に入れても大丈夫ですが、日向に干して水分を飛ばしてから保管すると、甘みが増すそうです。

 

皮を剥いて、サッと熱湯にくぐらせて、お砂糖をまぶしておけば、風味を残したまま保存できます。熱を冷まして、冷凍しておくことも可能です。

ただし、皮付きの場合も剥き栗の場合も、解凍するときは必ず、ぐつぐつ煮立った熱湯に入れて、1時間ほど湯がいてください。じわじわと温めて解凍すると、実が霜焼けのようになり、味が落ちるのだそうです。

 

 

山江村物産館ゆっくりでの名物は、やまえ栗の餡だけがたっぷり詰まった「栗まんじゅう」と、熊本の郷土菓子 いきなり団子の栗バージョン「びっ栗だんご」。

どちらもホクホクした栗のやさしい甘さが楽しめる、自慢の名産品です。

 




基本データ

熊本県南部に位置する熊本県球磨郡山江村。人口は約3600人。周囲を山々に囲まれた盆地で、球磨川に合流する河川が流れています。
1980年代には年間約400t出荷されていたやまえ栗ですが、生産者の高齢化、鳥獣被害の増加、温暖化などの影響により、現在は年間100t前後。
2008年から再ブランド化の取り組みが本格化し、新たな販路の開拓や商品開発が行なわれています。


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