
不知火発祥の地から、未来へ。松川果樹園の挑戦
生産者: 松川 武蔵さん(まつかわ むさし)
不知火発祥の地、不知火町

不知火(しらぬい)の発祥の地として知られる、熊本県宇城市不知火町。
この土地には、6代にわたり果物づくりを続けてきた松川果樹園があります。
不知火とは、一般的に「デコポン」として親しまれている柑橘のひとつ。
豊かな自然の恵みに育まれた果実は、みずみずしく、さわやかな香りに包まれています。
地域のにぎわいも育てる

松川果樹園の園主・松川さんは、農家としての技術を受け継ぎながら、「農家+町おこし」という視点で地域の活力づくりにも取り組んでいます。
かつて地域のにぎわいの象徴であった朝市。
その復活に向けて実行委員を務め、農産物の魅力を伝えるだけでなく、地域の文化や人々の交流の「場」そのものを創り出す役割も担っています。
太陽と海の反射光が生む、深い味わい
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不知火の特徴は、太陽の光と不知火海から反射する光がもたらす甘み。
加えて、潮風の微妙な影響と、先祖代々にわたって丁寧につくり込まれてきた土壌が、甘みと酸味のバランスに深みを与えています。

おいしさを決めるのは環境だけではありません。
松川果樹園では、畑のうねを資材で覆い、適度な乾燥ストレスを与えることで土壌の水分をコントロールしています。
さらに、摘果のタイミングや寒暖差の大きい気候への対応など、日々細やかな手入れを重ねています。
不知火は収穫してからが本当の仕上げ。
一定の温度・湿度で丁寧に貯蔵することで酸が抜け、甘みがより濃く深まっていきます。
「こうして丁寧に手入れをすることで、おいしい不知火を収穫できるんです」と、松川さんは語ります。
小玉を価値に変える「ミニポン」

松川果樹園では、小玉の不知火を「ミニポン」と名付けて商品化しています。
写真左が「ミニポン」、右が通常サイズの不知火です。
サイズは小ぶりでも、甘みと酸味のバランスは変わりません。サイズが小さい分、1箱あたりの個数が多いのも特徴です。
皮は手でむいて食べられ、果皮に黒点や傷、ヤケがある場合でも味に問題はありません。
選果も手作業で丁寧に行い、安心して味わっていただける形で届けています。
農業をもっと輝く仕事にするために

農業の世界は、後継者不足や高齢化といった課題も抱えています。
「農家って輝いているな」「農家って楽しそうだな」と感じてもらい、農業を志す人が増えるきっかけになれれば嬉しいと、自らが先頭に立つ覚悟を語ります。
「また来年も食べたい」――その一言のために。
松川さんは手間を惜しまず土地と向き合い、伝統を新しい形へと進化させています。
基本データ
熊本県宇城市不知火町の果樹園。
不知火町が発祥の地である「不知火(デコポンと同一品種)」を中心とした柑橘類とシャインマスカットや巨峰といった葡萄類を生産・販売。
松川果樹園 公式HP:https://matsukawakajuen.com/
