九旬

 

小さな果実に込めた想い。鹿児島発 あめ玉みかん

生産者: 眞鍋 航之介さん(まなべ こうのすけ)

“温州みかん発祥の地”から届ける挑戦

あめ玉みかん

鶴の越冬地として知られる鹿児島県出水市。ブリの養殖や養鶏も盛んな地域ですが、実は「日本の温州みかん発祥の地」といわれています。

その発祥の地・長島を望む圃場で、眞鍋さんは「記憶に残るみかん」を育てようと挑戦を続けています。

 

三代でつなぐみかん作り

あめ玉みかん

眞鍋さんは三代目。祖父が始めたみかん畑を、今は家族で力を合わせて守り続けています。「ただ”おいしい”と言ってもらいたくて。記憶に残るようなみかんを作りたいと思ったんです。」

その想いを胸に、一本一本の木に丁寧に向き合い、日々の地道な作業を積み重ねています。

 

金賞を受賞した「あめ玉みかん」

あめ玉みかん

その「記憶に残るみかんを作りたい」という想いから生まれたのが「あめ玉みかん」。小ぶりなのが特徴で、その小ささこそが“甘さの証”です。
ぎゅっと凝縮された甘みと、濃厚な旨み、ほどよい酸味のバランスが評価され、「第一回全国ミカン選手権」で最高金賞を受賞しました。
口に含めば果汁が広がり、思わず笑みがこぼれます。

 

あめ玉みかん

「水を吸いすぎると実が大きくなって、味が薄くなってしまう。だから、できるだけ養分を実に集中させるよう工夫しています。」

天候の変化にも注意を払いながら、毎日丁寧に果実の状態を見極めます。こうした細やかな手入れと経験の積み重ねが、他にはない濃厚な味わいを生み出しています。

 

小さな果実に詰まる、濃密な甘さ

あめ玉みかん

みかんの底部分にある皮の“点々”にも秘密があります。
細胞分裂を繰り返した証拠で、この模様が細かいほど、甘みがぎゅっと詰まったみかんなのだそうです。眞鍋さんは「この点々は、甘さを見極めるひとつの目安になるんです」と教えてくれました。

 

さらに、糖度を高めるため“樹上完熟”にもこだわっています。
完熟を待つ間にはリスクもあります。果実に栄養を注ぎ込みすぎると、翌年に花が咲かないこともあるのです。それでも、美味しいみかんを届けたいという思いから、完熟の瞬間を信じて収穫のタイミングを見極めています。

 

あめ玉みかん

取材中、畑で採れたみかんを実際に糖度計で計測すると、表示された数値は「16.3度」。メロンの平均糖度に匹敵する数字でした。
さらに熟した果実では、20度を超えることもあるそうです。

 

土と太陽が育む、小さなあめ玉みかん

あめ玉みかん

畑では、除草剤を使わず自然の力を生かした栽培を行なっています。
「生えている草の種類によって、土にいる微生物の種類も変わるんです。その微生物が酸を出してミネラルを溶かすことで、みかんの味に深みが出ると考えています」と眞鍋さん。
有機発酵肥料を使い、葉っぱに直接栄養を与える「葉面散布」も欠かせません。

 

あめ玉みかん

この畑の赤土が鉄分を多く含んでいることも、みかんの成長を力強く支えています。
「普通の土よりも育ちがいいんです。」 そう語る眞鍋さんの言葉からも、土と太陽への深い感謝が伝わってきました。

 

あめ玉みかん

南国の太陽の下で、みかんはゆっくりと熟していきます。
日差しをたっぷり浴びさせるため、防風林をあえてほとんど設けていない圃場もあります。
「日光がなければ甘くならないけど、強すぎると日焼けしてしまう。そこが難しいところです。」
風や日差しの影響で、果実が小さいころから傷つくこともありますが、その分うまみがぎゅっと詰まった「あめ玉みかん」が育つのです。

 

記憶に残る一粒を

あめ玉みかん

4月下旬には、畑一面に白い花が咲き、甘い香りが風に漂います。最も早い品種は9月中頃から収穫が始まります。

「もっと多くの人に、このみかんを食べてもらいたいです。みかんを好きになってもらって、『自分もみかんを作りたい!』と思う子どもを増やしたいんです。」

誰かにとって“記憶に残る一粒”になるように。そんな願いと手間ひまが、この「あめ玉みかん」にぎゅっと込められています。

 

あめ玉みかん




基本データ

鹿児島県出水市のみかん農園。 第一回全国ミカン選手権で「あめ玉みかん」が最高金賞を受賞。